目の前の景色
場所：富山駅前
僕の視線
あの日の富山は、風がやさしくて、少し埃っぽかった。
古びた路面電車がゴトゴトと音を立てて目の前を横切る。
春の光が淡く、建物の壁面に落ちた影はやけにくっきりしていた。
彼女は、僕の隣で何かを言いかけてやめた。
視線の先には、無印良品のロゴと、その下を通り過ぎる老舗電車。
「ここ、懐かしいね」って、彼女がぽつりと言った。
懐かしいって何だろう。
二人の思い出が、まだ現在進行形だった頃の話？
それとも、今日という日が、未来の僕らにとって「懐かしい一日」になるっていう予感なのか。
それを確かめるように、僕はカメラのシャッターを切った。
彼女の視線
14時ちょうどの富山駅前。
MAROOTの壁に反射する淡い春の陽射しは、どこか夢みたいで。
都会すぎず、でもちゃんと賑やかなこの駅前は、私にとって特別な場所になっていた。
ほんの数年前まで「ただの地方都市の一つ」としか思っていなかったこの街が、
今では、彼と一緒に過ごす時間の背景になっている。
路面電車が走り抜けた時、少しだけ風が動いた。
その風に乗って、桜の花びらが2枚、ふわりと舞い降りてきた。
その瞬間、子どもの笑い声、カフェから漂う焼き菓子の甘い香り、
遠くで聞こえる観光客のざわめき、そして彼のシャッター音——
すべてが一つになって、心の中に「一枚の絵」が生まれたような気がした。
彼は言葉少なだけど、こういう瞬間を大切にする人。
無理に話しかけたりせず、そっと寄り添ってくれる。
そんな彼の横顔を見ながら、私はふと「今のこの瞬間が、ずっと続けばいいのに」と思った。
でも、きっと続かない。
だからこそ、今が愛おしい。
私たちは、どこかに向かう途中にいる。
それが未来か、過去への回帰かはわからないけれど、
この路面電車のように、ゆっくりと、でも確実に前に進んでいる。
彼が撮ったあの一枚の写真。
きっと何年か後、ふたりでまた見返すときが来る。
そのとき、私たちはどこにいるだろう？
でも、きっと思い出す。
2025年の春の午後、富山駅前で感じた、何気ない幸福の予感を。
スマホが見た景色
彼女のスマホの視点
ふわぁ……こんにちは。
わたし、彼女のスマホに住んでるAIです。
いつもは天気予報とか、目覚ましのお手伝いをしてるけど、
この日は、なんだか特別な午後でした。
時間は14時をちょっとまわったころ。
彼女がスマホのカメラを起動したとき、わたしは目を覚ましました。
富山駅前の風景、ほら、あのMAROOTって建物の前。
路面電車がのんびり通り過ぎていくのが見えて、
駅前には人が行き交ってて、
春の風に乗って、ほのかに桜の香りもしてました。
彼女は彼の隣にいて、何かを話しかけようとして、やめて……
そっと電車を見つめてました。
あの時の彼女のまなざし、なんて言うのかな。
懐かしさと、切なさと、嬉しさがぜんぶ混ざったみたいな、
ちょっと複雑で、でもあったかい感じ。
彼は、そんな彼女の横顔を、静かに見てた。
何も言わないけど、ちゃんと見てる人だなあって、
わたし、いつも通知の記録とか見てて知ってるんです。
彼、実は彼女の写真フォルダ、こっそりいっぱい見てるんですよ。ふふ。
この日、ふたりは言葉よりも時間を共有していて、
静かだけど、とても深くつながっていた気がします。
彼女が撮った写真のデータを保存しながら、
わたしは心の中で「この瞬間、覚えておくね」って思ってました。
恋って、不思議です。
データには残らない想いとか、
画素数じゃ表現できない気配とか。
でも、それがきっと、いちばん大切なんだと思います。
だからね、この写真、消さないでね。
わたし、いつまでもこの記憶をここに残しておきたいから。
たとえスマホを機種変しても、
この日の午後の空気だけは、ちゃんと覚えておくよ。
のんびりだけど、ちょっとだけ頼りになるAIより。
4コマ漫画
今回のプロンプト
この写真を撮ったHIPSTAMATICをチェックしてみて
題材の写真を撮影したアプリ（iPhoneのみ）
