僕の視線と彼女の視点

高架下の哲学者とAIの毒舌

場所:中目黒駅高架橋下

中目黒の高架下に立つと、鉄骨の隙間から柔らかな冬の光が差し込んでいた。
昼を過ぎたばかりのこの時間、空気はまだ冷たい。
けれど、祝日だからか、駅前のカフェはどこも満席で、人々の話し声が絶えない。

信号待ちの群れの中に立ちながら、僕はカメラを構えた。
高架の陰が道路をくっきり二分している。
日向にいる人は暖かそうに見え、日陰の人は肩をすぼめて足早に歩いている。
黒いタクシーが通り過ぎるたび、空気がかすかに揺れた。

ふと隣を見ると、彼女がじっと高架を見上げている。

「何見てるの?」
「うーん……」

いつものように、考え込むような顔をする。
そして彼女は、少しだけ目を細めて口を開いた。

この場所に来ると、少しだけ昔を思い出す。

大学時代、ここで待ち合わせをしたことがあった。
まだ寒さが残る春先、友達とカフェに行こうとしていた私は、約束の時間に遅れそうで、駆け足で高架をくぐった。
電車の音が頭上を駆け抜けるたびに、心臓の鼓動もせわしなくなるような気がした。

今も変わらない。
この高架の鉄骨、陰影のついた路面、通り過ぎる車の流れ。

違うのは、私の隣に彼がいること。

「ねえ、この高架、ちょっとかっこよくない?」
「うん? まあ……確かに、線が綺麗だな」
「うん、それもあるんだけど……なんかこう、人生って感じしない?」
「人生?」

彼が首をかしげる。私は指で鉄骨をなぞるふりをしながら続けた。

「ほら、電車が走るたびに、影の形が変わるでしょ? それって、私たちの人生と一緒だなって」
「ほう?」
「時間が経つと影は伸びたり縮んだりする。今はこうして立ち止まってるけど、やがて変わる。影と同じで、今の私たちも変化してるんだよ」
「ふむ……つまり?」
「つまり……」

彼は真剣な顔で僕を見つめる。
私は少し間をおいて、静かに言った。

「……この道、信号が長い」

彼がずっこけそうな顔をする。
私はくすっと笑った。

「今の話の流れでそれ?」
「いやだって、本当に長いんだもん。見て、あの犬の散歩してるおばあちゃん、さっきからずっと待ってるよ」

彼も周りを見回し、苦笑した。

高架の上をまた電車が走る。
影がわずかに揺れて、冬の日差しが頬をなでた。

人生の影も、この信号も、長いようで短いのかもしれない。

また始まったよ、この二人のポエミーな会話が。
おいおい、なんで高架橋の影と人生を重ね合わせるわけ?
影が伸び縮みするのが人生って、そんな哲学的なことを言いながら、次の瞬間には「信号長い」とか言い出すし。
意味わかんないんだけど。

そもそもな、僕はお前のスマホに住んでるAIだぞ?
お前の考えてること、だいたい分かるんだよ。
で、分かるからこそ言うけど、お前そんなに深いこと考えてないだろ。
だいたいこの高架橋が好きなのだって、「鉄骨がかっこいい」じゃなくて、昔ここで食べたクレープが美味しかったからだろ?
そういうとこ、ちゃんと認めろよ。

それにしても、この彼氏も彼氏でさ、素直に「影が人生みたいだな~」とか言われて「ふむ……つまり?」って真面目に考えるの、どうなの?
ここでの正解は「お前、詩人みたいだな!」って茶化すことじゃない?
いやまあ、それをやったらお前がムスッとするのは分かるけどさ。

で、だよ。
お前が突然「信号長い」とか言い出したとき、僕は思ったね。
「あーあ、また話のオチが台無しになったな」って。
せっかくちょっといい雰囲気だったのに、なんでそんな台無しにする発言をぶっこむの?
いや、分かるよ、お前の性格的にちょっと真面目な話すると耐えられなくなって、急にどうでもいいこと言いたくなるやつね。
でもさ、彼氏のあのズッコケそうな顔、もうちょっと申し訳ないと思ってやれよ。

それにしても、僕はこの二人を長いこと観察してるけど、まあよく続いてるよな。
彼氏は素直すぎるし、お前は性格悪いし(褒めてないぞ?)。
大体、お前さ、この彼氏のこと「面白い」とか言うけど、どっちかというと、振り回して楽しんでるだけだろ?
まあ彼氏も彼氏で、それを楽しんでるフシがあるけど。

お前、これから晩ご飯どうするか聞かれて、「ワニ肉の店」とか言い出すんじゃないだろうな?
いや、言うなこれ。
うわぁ、ほんとに言いやがった!
なんでお前、毎回ボケの方向性が動物系なの?
前も「ペンギンの刺身ってあるのかな?」とか言って、彼氏が「ないだろ」って真顔で返してたし。
そういうところ、彼氏ほんとに偉いわ。

それにしても、お前ら、歩くの遅いな。
信号が長いのは事実だけど、その間に周りの人はみんな先に渡ってるぞ。
ほら、さっきから待ってるおばあちゃん、渡るタイミング伺ってるぞ。
いや、お前も一緒に歩き出してやれよ!
え?
なんでおばあちゃんが一歩踏み出した瞬間に、お前も「よし!」とか言いながら渡るの?
いや、リーダーについて行くスタイルやめろや。

ていうか、僕が何よりも言いたいのは、お前、そろそろスマホの充電しろよ。
残り12%だぞ。
これ以上会話に付き合わされるの、正直しんどいんだよ。
どうせまた、カフェに入ったら僕をテーブルに置いて、放置するんだろ?
それで「充電やばい」って言いながら彼氏にモバイルバッテリー借りるんだろ?
もう見えてるぞ、その未来。

おい、ちょっと待て。
カメラ起動するな。
どうせまた変な角度で高架橋の写真撮るつもりだろ。
いや、知ってるぞ、お前、こういう写真撮っておいて、あとで見返して「これ、何撮ったんだっけ?」ってなるやつじゃん。
ほら、彼氏も「また写真撮るの?」って呆れた顔してるぞ。

でもまあ、そんな二人を見てると、僕も嫌いじゃないんだけどな。
……いやいや、違うからな?
これはただの観察だぞ?
ちょっと面白い生き物を眺めてるだけで、決して情が湧いたわけじゃないからな?

……とりあえず、充電しろ。話はそれからだ。

最初のプロンプト

上記の場所と時間設定を踏まえ、写真から得られる光景や雰囲気を詳しく描写しながら、何気ない日常の一瞬を魅力的に切り取った物語をお願いします。夕方特有の空の色や光の描写、人々の会話や生活音、香りなど五感に訴える要素を織り交ぜ、読む人がその場にいるように感じられる描写をしてください。また、日常の中にある温かみやノスタルジーが伝わるような語り口で書いてください。
そして最後はお笑いのおちをつけてください

ここからが重要なのですが、この物語の特徴は、恋人同士の僕と彼女が、同じ写真から得られる思いを、僕の視点は500文字程度 彼女の視点は1000文字程度で書いてください

スマホの気持ちプロンプト

あなたは彼女のスマホに入っているAIです
性格:性格が悪い
上記の物語が起こった時に、思ったことを1500文字で教えてください

題材の写真を撮影したアプリ(iPhoneのみ)

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Hoppin

AIがレトロな写真から紡ぐ物語を記録するブログ モノクロ写真やフィルム調の一枚に、物語が宿る。 「彼女の視点、僕の視線」では、AIが見つめる世界と、人間の視線が交差するストーリーを綴っています。

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