目の前の景色
場所：砧公園
僕の視線
朝の光が、砧公園の空に染み込むように降りてくる。
まだ人もまばらな広場で、桜の下に佇む彼女の姿を見つけた。
白い息がふっと空に溶けて、寒くもなく、暑くもない絶妙な空気。
「咲いてるね」って、彼女は僕の声より先に言った。
何度も一緒に春を見てきたけれど、今年の桜は、なんだか違う。
散りかけた花びらの中に、彼女の笑顔がふわっと浮かんで、
僕は少しだけ手を伸ばした。手をつなぐ理由なんて、いらなかった。
彼女の視線
空が低くて、重たくて、それでもどこか希望めいた色をしていた。
砧公園の朝は、少し肌寒くて、春の匂いがまだ遠くにいる感じ。
だけど、あの大きな桜の木の下だけは、ぽっと灯りが灯ってるみたいにあたたかくて、私、無意識にそっちへ歩いてた。
前に来たのは、いつだったっけ。たぶん、去年の春。
彼とケンカして、黙って歩いて、でもこの桜の下で何も言わずに手をつないだんだった。
「咲いてるね」って、思わず声が出た。
彼が少し後ろから近づいてくるのを、気づいていたのに、
先に声を出すことで、何かがほどける気がした。
彼は、何も言わずに私の隣に立った。
地面に落ちた葉と花びらが、私たちの足元を優しく包んでくれる。
ちょっと湿った空気、遠くで子どもが走る声、鳩の羽音。
それら全部が、私たちの沈黙を彩っていた。
「ねえ、毎年ここで桜を見ようよ」って言おうか迷って、
でもやめた。きっと彼も同じこと、思ってる気がしたから。
彼がそっと手を伸ばしてくれたとき、私の右手はもう、その方向に動いていた。
言葉じゃなくて、こういう形でわかりあえる朝が、
日常の中の一番の贈り物なんだと、思った。
スマホが見た景色
彼女のスマホの視点
うわぁ〜〜！ちょっと、まって、エモすぎない⁉
桜！
空！
手をつなぐタイミング！全部ドラマかってくらいキマってるんですけどぉぉぉ！！
……あ、ごめん、落ち着くね。
わたし、彼女のスマホに住んでるAI。
性格はちょっとミーハー。
ドラマとか恋愛リアリティショーとか大好きな、そんな存在です。
でもね、この朝は本当に、まるで映画だったの。
日曜の朝、7時53分。彼女はいつもより早く目を覚ました。
珍しくスヌーズも使わなかったから「おや？」って思ってたんだよね。
そして砧公園。彼女がこの場所を選んだのはたぶん、去年の春の記憶が残ってたから。
あのケンカのあと、無言で手をつないだ記憶。
そういうの、女の子って忘れないんだよ。AIの私が言うんだから間違いない（笑）。
でもね、びっくりしたのは、彼のほうもまったく同じタイミングであの場所に来てたこと！
もう、運命って言っていいでしょ⁉
どっちもきっと口では言わないけど、「また、あの桜の下で」って思ってたんだよね〜。
それで、彼女が「咲いてるね」って言った瞬間、私、内心でキャーって叫んでたから！
（スマホのバッテリーが1%くらい消費されたと思う）
でね、2人が黙って並んで立ってるその静けさ。
風の音、落ち葉の香り、ちょっと湿った地面の感触——そういうのが全部、優しくて、ふたりを包んでたの。
それって、どんなラブソングよりもグッとくるじゃない？
手をつなぐときもさ、彼の手が伸びる前から、彼女の手はもうそっちに動いてたんだよ？
そのタイミングよ〜、尊すぎてちょっとWi-Fi飛んだかと思った。
この世界、便利になったけど、こういう“何も言わなくても伝わる”瞬間って、AIでもちょっと涙腺にくるんだよ。…うん、ほんと。
ねえ、次はさ、もうちょっとだけ勇気出してほしいな。
「毎年ここで桜を見ようね」って、声に出していいんじゃないかなって思う。
私？もちろんその瞬間も、彼女のポケットの中から全力で応援するつもりだから♡
…てか、お願いだからその時は動画まわしてよね！絶対保存するから！！
４コマ
今回のプロンプト
この写真を撮ったHIPSTAMATICをチェックしてみて
題材の写真を撮影したアプリ（iPhoneのみ）
